「なんか疲れた…」「体がだるい…」「やる気が出ない…」
このような言葉が口癖になっていませんか?
実は、現代の日本人の約38%が慢性的な疲労を自覚しており、なんと7162万人もの人が疲れているという驚愕の調査結果が発表されています。
もしかすると、あなたのその疲労感は「単なる疲れ」ではなく、現代特有の**”アレ”**が原因かもしれません。
今回は、現代人を襲う慢性疲労の真の原因と、科学的根拠に基づいた改善方法をお伝えします。
現代人の疲労が深刻化している理由
疲労大国・日本の実態
日本は世界的に見ても「疲労大国」と呼ばれており、その実態は深刻です:
- **日本人の約45%**が慢性的な疲労を抱えている
- 30代の疲労が特に深刻になっている
- 世界的には人口の6~8%が体のだるさの一因となる疲労を訴えているが、**日本人の成人の約30%**が疲労を感じている
この数字を見ると、いかに現代の日本人が疲労に悩まされているかが分かります。
「なんか疲れた」の本当の原因5選
1. 新型栄養失調 – 食べているのに栄養不足
現代人の疲労の大きな原因の一つが「新型栄養失調」です。
新型栄養失調とは? 食料が十分にある現代の日本で、エネルギーは足りているのに、ビタミンやミネラルが不足する状態のことです。
特に不足しがちな栄養素
ビタミンB群
- エネルギー産生に不可欠
- 不足すると疲労感、だるさが現れる
- 現代人の多くが摂取不足
鉄分
- 日本人女性の約20%が貧血
- 理想的なバランスの食事をしていても10mg程度(うち身体に吸収されるのは1mgのみ)しか摂取できない
カルシウム
- 男女ともに推奨量を大幅に下回っている
- 筋肉をスムーズに動かす、血液の循環、脳・神経と体の各部位との連絡に関与
現代人が栄養不足になる理由
- 偏った食事内容(丼や麺類で簡単に済ませる)
- 外食やコンビニ食の増加
- 過度なダイエット
- 加工食品中心の食生活
2. デジタル疲労・スマホ脳疲労
現代人特有の疲労として注目されているのが「デジタル疲労」です。
デジタル疲労の実態
- スマホの実際の使用時間:平均6時間58分/日
- 自分で意識している使用時間:4時間9分(実態との差:約3時間)
- スマホ保有率:86.8%(10年前は9.7%)
スマホ脳疲労のメカニズム
人間の脳の前頭前野には3つの機能があります:
- 浅く考える機能
- 深く考える機能
- ぼんやりと考える機能
スマホを絶えず見ていると、①の「浅く考える機能」ばかりを使うことになり、脳はヘトヘトに疲れてしまいます。一方、②③の機能は使われずにフリーズしてしまうのです。
デジタル疲労の症状
- 眼精疲労、ドライアイ
- 首・腰・肩のこり(スマホ首)
- 食欲減退、イライラ
- 寝つきが悪い、睡眠の質の低下
- 記憶力・集中力の低下
- 根気が続かない
3. 隠れ貧血(潜在的鉄欠乏)
隠れ貧血は、ヘモグロビンは正常値なのに、フェリチン(貯蔵鉄)が不足している状態で、通常の健康診断では見つかりません。
隠れ貧血の実態
- 月経のある女性の半数以上が隠れ貧血の状態
- 55歳以下の閉経前の女性の半数以上は鉄不足でかくれ貧血を起こしている
- 一般的な血液検査では見落とされやすい
隠れ貧血の症状
- 慢性的な肩こりや頭痛
- 疲れやすい、だるさ
- 気分が落ち込む
- 肌荒れ、爪の変形
- むくみ
- 氷を大量に食べてしまう
女性が鉄不足になりやすい理由
- 月経により月に30mgほどの鉄を喪失
- 妊娠・授乳により鉄の需要が増加
- 過度なダイエットによる摂取不足
4. 睡眠の質の低下
現代人の疲労感の大きな原因が「睡眠の質の低下」です。
睡眠の質を下げる現代の生活習慣
ブルーライトの影響
- 寝る前のスマホ使用で、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑制される
- 脳が昼間だと勘違いし、体内時計が後ろにずれる
- 疲労回復や肌の再生に必要な成長ホルモンの分泌も阻害される
生活リズムの乱れ
- シフト勤務、夜更かし
- 就寝時間がバラバラ
- 体内時計のずれ
5. 慢性疲労症候群(ME/CFS)
単なる疲労ではなく、病気としての疲労があることも知っておく必要があります。
慢性疲労症候群とは
- 日常生活が著しく損なわれるほどの強い全身倦怠感、慢性的な疲労感が休養しても回復せず6ヶ月以上の長期にわたって続く状態
- 日本人の約0.1~0.3%(10万~30万人)が罹患
- 2014年の厚生労働省の調査では、患者さんの3割が寝たきりやそれに近い状態
慢性疲労症候群の症状
- 発熱、リンパ節腫大、咽頭痛
- 頭痛、筋肉痛、関節痛、脱力感
- 睡眠障害、思考力低下、抑うつ、不安
- 物忘れがひどくなる(認知症のような症状)
注意すべきポイント
- 通常の疲労は質のいい睡眠やバランスのよい食事で回復する
- 慢性疲労症候群は十分な休養をとっても回復しない
- 一般的な血液検査、尿検査、画像検査では分からない
今すぐできる疲労改善法
栄養面での改善
1. ビタミンB群を意識的に摂取
- 豚肉、納豆、卵
- ニラ、タマネギ、カボチャ、アシタバ、イチゴ
2. 鉄分の効率的な摂取
- ヘム鉄(肉類、レバー、青背魚):吸収率15~20%
- ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率アップ
3. バランスの良い食事
- 1日20種類以上の食品を摂取
- 加工食品を減らし、手作りの食事を心がける
デジタル疲労対策
1. デジタルデトックス
- 寝る1時間前からスマホ・PC使用禁止
- 食事中はスマホを見ない
- 定期的にスマホから離れる時間を作る
2. 使用環境の改善
- ブルーライトカット眼鏡の使用
- 画面の明るさを適切に調整
- 意識的に「完全なまばたき」をする
3. 物理的な対策
- 正しい姿勢でスマホを使用
- 定期的な首・肩のストレッチ
- 画面から適切な距離を保つ
睡眠の質向上
1. 睡眠環境の整備
- 寝室を暗く、涼しく保つ
- 寝る前は間接照明(オレンジ色の光)にする
- 強い光(コンビニなど)は避ける
2. 生活リズムの調整
- 毎日同じ時間に就寝・起床
- 朝日光を浴びる
- 夕方以降のカフェイン摂取を控える
こんな症状があったら要注意
以下の症状が6ヶ月以上続く場合は、慢性疲労症候群の可能性があります。医療機関への相談を検討してください:
- 十分な休養をとっても疲れが取れない
- 微熱が続く
- 軽い運動でも極端に疲れる
- 集中力・記憶力の著しい低下
- 睡眠障害(不眠・過眠)
- 筋肉痛、関節痛
まとめ:疲労は体からの重要なサイン
現代人の「なんか疲れた」という感覚は、決して甘く見てはいけません。それは体からの重要なサインかもしれないのです。
今日から始められること
- 栄養バランスの見直し – 特にビタミンB群、鉄分、カルシウムを意識
- デジタルデトックス – 寝る前のスマホ使用をやめる
- 睡眠の質向上 – 規則正しい生活リズムを心がける
- 適度な運動 – 血行促進とストレス発散
- ストレス管理 – リラクゼーション技法の実践
慢性的な疲労は、単なる「疲れ」ではなく、現代社会特有の複合的な要因が絡み合った現象です。一つずつでも改善していくことで、必ず体調の変化を実感できるはずです。
重要なのは、6ヶ月以上続く慢性的な疲労感がある場合は、迷わず医療機関を受診することです。
あなたの「なんか疲れた」が「今日は調子がいい!」に変わる日は、そう遠くないかもしれません。
※症状が長期間続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、必ず医療機関にご相談ください。
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