IQよりも大切?社会で成功する子の「CQ(好奇心指数)」の伸ばし方

学習

はじめに

これまで子どもの能力といえば、**IQ(知能指数)がもっとも重要視されてきました。しかし近年、教育界やビジネス界で注目を集めているのがCQ(好奇心指数)**という新しい概念です。

ビル・ゲイツが母校の講演会で、校長先生から「10年後、20年後の社会で活躍するためにどんなスキルが必要だと思うか」という質問をされたときのエピソードでも、好奇心の重要性が語られており、未来を担う子どもたちにとって、CQは極めて重要な能力として位置づけられています。

CQ(好奇心指数)とは何か?

CQの定義

CQ(Curiosity Quotient)とは、好奇心と創造力の高さを表す指数の事で、CQが高い人の特徴として、新しい事に挑戦をしたり、知識をもっと得たい、という欲求が強く、仕事や私生活の様々な場面で新しいアイデアがひらめく能力のことです。

なぜCQが注目されているのか?

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの経営心理学の教授を務めるトマス・チャモロ=プレミュジック博士は、成功の鍵を握っているのはICE(IQ・CQ・EQの3つのバランス)だと述べています。

特に現代社会において、情報があふれ、グローバリゼーションが進む時代において成功するには、CQは、IQより求められる能力であるとさえ言われています。

なぜCQがIQより重要なのか?

AIに代替されない人間らしい能力

問題に対して即座に正解を答える能力は、人工知能に敵いません。しかし、人工知能はあくまで指示をこなす役目です。

一方で、CQの高い人は:

  • 曖昧さに対して寛容で、複雑な状況におけるニュアンスを汲み取る能力に長けています
  • 教育や知識獲得に対する投資を惜しまない傾向があり、蓄積された知識と経験は、複雑な問題に対する簡潔な答えを導き出しやすくなります

実際の研究データ

驚くべきことに、2012年のOECD(経済協力開発機構)による成人(16~65歳)を対象とした調査では、日本の学力は数的思考力などで世界トップクラスである一方、新しいことを学ぼうという意欲は低いことがわかりました。なんと日本の20歳の好奇心は、スウェーデンの65歳並びという深刻な状況にあります。

CQの高い子どもの特徴

3つの好奇心の種類

好奇心には以下の3種類があります:

  1. 拡散的好奇心:いろいろなことに対して生まれる好奇心
  2. 共感的好奇心:他者の気持ちや状況に対する関心
  3. 知的好奇心:拡散的好奇心によって興味を持ったことを、専門的知識にまで深め、積み重ねたいと思う好奇心

CQの高い子どもの行動特徴

  • マニュアルがないと動けない「マニュアル人間」とは正反対で、ハッキリ「こうしてください」と言われないあいまいな状況でも、自発的に考え、行動することができます
  • 教えられなくても自らすすんで自己投資を行い、熱心に勉強します
  • 知識欲が旺盛で、新しいことに対して開かれています

CQ(好奇心指数)を伸ばす具体的な方法

【0-3歳】好奇心の土台づくり

この時期は何に関心があるのか分かりにくかったり、興味の対象が変わりやすいため心配する親も多いですが、基本的には、まだ言葉を話したり何かをうまく使ったりできない赤ちゃんの時期でも、おとなしいお子さんであっても、好奇心はちゃんとあるんです。

具体的な取り組み:

  • 遊びが発展していきやすい、自由度が高いおもちゃがいいですね。例えば、どう見ても携帯電話にしか見えないようなおもちゃよりは、積み木とか粘土とか、そういう遊び方の余地が大きいものの方が、子どもの好奇心や創造性を育みやすい

【3-6歳】好奇心を特に伸ばしやすい黄金期

知的好奇心を特に伸ばしやすいのは、3〜6歳の時期といわれています。この時期の子どもは言葉の発達が進み、自分の興味を言語化しやすくなるため、好奇心が広がりやすくなります。

環境づくりのポイント:

  1. 図鑑・地図・辞書をすぐ手の届く場所に 子どもが何かを調べたいと思ったとき、他の部屋に取りにいくという手間があることで、好奇心の芽を摘んでしまう恐れがあるからです
  2. 「なぜ?」を大切にする 小さな子どもに「なぜ? なぜ?」と聞かれたときの親の声かけ、対応はとても重要で、親への信頼関係、子どもの好奇心、探究心などにも影響を与えます

【小学生以降】さらに深める方法

T字戦略の実践: CQを高めるには、徹底的に深掘りして極めることと、興味を幅広く横に広げることを同時に行う、『T字戦略』を使います

  • タテの部分:興味のある1つのことは非常にマニアックになれるスペシャリストタイプ
  • ヨコの部分:色んなことを広く浅く知っていて器用にいろいろできるゼネラリストタイプ

親が実践すべき5つの習慣

1. 親自身が好奇心を示す

親も自分の好奇心を追求し、わからないことがあれば調べる習慣や、新しい知識を人に伝える喜びをワクワクしながら示すことで、子どもは新しく学んでいく意欲を感じられるようになります

2. すぐに答えを教えない

「どういうことかな?」「知りたい!」というモヤモヤした気持ちを抱えたまま、自分で図書館に行って調べるなど、あえて時間をかけて確かめるほうが好奇心が深まります

3. 一緒に調べる習慣をつける

子どもが「なぜ?」と聞いてきたら、一度「なんでだろうね?」と聞き返し、一緒に調べ、情報が載っている本やページを探す

4. 実体験とバーチャル体験をつなげる

図鑑で知識を得たなら、知識をさらに深めるために、外の自然や博物館などに子どもと出かけてみます。机上で知識を得て、五感を使って本物を体験することをくりかえすと、脳の広範囲が刺激され、好奇心の土台ができあがっていきます

5. 子どもの興味を尊重する

子どもがポケモンのキャラクターや戦隊ヒーローにしか興味をもたない場合でも、とことんハマらせます。ひとつのことに夢中になる経験は、好奇心を追求する力の源泉になります

脳科学的な根拠

ドーパミンと好奇心の関係

知的好奇心が旺盛な子どもの場合、子供の脳内では神経伝達物質であるドーパミンが分泌されやすくなっています。ドーパミンはやる気や意欲の根源となり、記憶力を向上させる働きもあるため、知的好奇心を育むことは脳の活性化にもつながってきます

脳の可塑性

脳医学の観点から、脳には「可塑性」という特性があります。自らを変化・成長させていくことができる力のことです。興味のある物事を「どうなっているのかな?」「もっと知りたい!」と好奇心をもって取り組むことで、脳はどんどん変化します

やってはいけないNG行動

好奇心を摘む親の行動

  1. 質問を拒絶する 「『なぜ? なぜ?ってうるさい!」とか「何回聞いてくるの!」と怒ることです。怒られた瞬間に、子どもの知的好奇心は急速にしぼんでしまいます
  2. 過干渉 子どもの行動を制限し、親の意見を押しつけることで、子どもの好奇心がそがれてしまう可能性があります
  3. すぐに答えを与える 簡単に答えだけを知ったところで記憶にとどまらないことも多いものです

現代だからこそ必要なCQ

デジタル時代の挑戦

いまはテクノロジーが発達し、なんでもその場で「ググる」ことで知りたい情報がすぐに手に入るようになりました。一方で、その手軽さや便利さがあだとなり、知らないものをあえて積極的に深掘りしていこうとする好奇心が弱まっているとの指摘もあります

不確実な時代を生き抜く力

コロナ禍で不確実性が高まっている社会では、どんな知識がどんなアイディアや解決策につながるかわかりません。だからこそ、様々なことに好奇心を持ち、学び続ける姿勢が重要になります。

まとめ

CQ(好奇心指数)は、これからの時代を生きる子どもたちにとって、IQと同等かそれ以上に重要な能力です。特に3-6歳の黄金期を逃すことなく、親も一緒に楽しみながら好奇心を育てることが大切です。

「なぜ?」を大切にし、一緒に調べ、実体験とつなげながら、子どもの興味を尊重することで、未来を切り拓く力を育てていきましょう。

知能はもちろん重要ですが、ICEをバランスよく伸ばしていくことを意識することが大切です。子どもたちの輝く未来のために、今日からCQを意識した子育てを始めてみませんか?

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