「毎日読み聞かせをしているのに、本当に効果があるの?」 「読み聞かせって時間の無駄なのかも…」
そんな疑問を抱いている親御さんも多いのではないでしょうか。インターネット上では「読み聞かせは意味がない」という意見も散見され、混乱してしまうかもしれません。
今回は、最新の研究結果を基に「読み聞かせの本当の効果」と「子どもの国語力を本当に伸ばすために親ができること」について詳しく解説します。
読み聞かせの効果は科学的に証明されている
語彙力の劇的な向上
まず結論から申し上げると、読み聞かせの効果は多くの科学的研究によって証明されています。
東北大学の川島教授を代表とする研究では、「読み聞かせをされた子は、されていない子と比べて3倍相当の語彙の伸びがみられた」という結果が明らかになりました。
さらに、平成25年の文部科学省の調査でも、小さいころに読み聞かせをしていた家庭の子どもは、学力が高い傾向にあるという研究結果が出ています。
多方面にわたる効果
読み聞かせの効果は語彙力だけにとどまりません:
- 学力向上:読み聞かせを積極的に行った家庭の子どもは、小学生・中学生ともに学力テストの平均正答率が高く、しかも、国語のみならず、算数(数学)の正答率が高くなることも判明
- 読書習慣の定着:読み聞かせをしてもらっていた期間が長い子どもほど読書量が多いという結果
- 心の安定:8週間の読み聞かせをしてもらった子どもは、読み聞かせをしてもらう前と比較して、不安・抑うつなどの問題が減少
- 親のストレス軽減:8週間の読み聞かせの前後では、親の感じるストレスが軽減している
なぜ「意味がない」という意見があるのか?
日本の読み聞かせの課題点
実は、「読み聞かせは意味がない」という意見の背景には、読み聞かせの方法に問題があるケースが多いのです。
ハーバード大学での研究により、興味深い事実が明らかになりました:
読み聞かせをするとき、日本の親子はあまりやりとりをしません。親が子に問いかけ、子どもがそれに答える(あるいはその逆)というやりとりがアメリカの親子に比べて少ない。基本的に、親の話を子どもが黙って聞いている、という読み聞かせなのです。
日本とアメリカの読み聞かせの違い
日本の読み聞かせ
- 子どもは静かに聞くことが期待される
- 親子の情緒的な絆を重視
- 昔話や道徳的な内容が好まれる
- 受動的な活動として捉えられている
アメリカの読み聞かせ
- うるさいくらいに子どもたちがしゃべり、親子で対話をしながら絵本を読み進めていきます
- はっきりと「絵本はことばを教える教材である」と考えています
- 能動的で積極的な活動として認識
- 「対話型リーディング」が標準
本当に効果的な読み聞かせとは?
対話型リーディング(ダイアロジック・リーディング)
アメリカで研究されている「対話型リーディング」は、従来の読み聞かせとは大きく異なります:
対話型リーディングは読み手と聞き手がお互いに会話しながら進めます。子どもはインプットだけでなくアウトプットも積極的に行いますから、主体的に考える力がつき、脳への刺激も格段にアップします。
具体的な実践方法
基本の4ステップ
- 【促進】 子どもの意見を引き出し、発言を促す
- 【評価】 子どもの発言を受け、親が返答する
- 【展開】 子どもの発言を言い換える・情報を付け加えるなどして、話題を広げる
- 【反復】 最初の子どもの発言を繰り返させ、復習する
読み聞かせ以外で国語力を伸ばす方法
1. 日常会話の質を高める
子どもは基本的に、深く考えずに話します。思いついたままを口にし、内容をまとめてから話そうという姿勢自体を、あまり持ちません。
そこで重要なのは、考えて話させる機会を意識的に作ることです。
実践例
- 「今日は学校で何したの?」→「サッカー」
- 「サッカーしてて、どんな時が楽しい?」→子どもがより詳しく話すように促す
- 子どもの発言を受けて、さらに深掘りする質問をする
2. 語彙力を増やす日常の工夫
語彙力を高めるには、知らない単語やわからない表現に出くわしたとき、意味を知ろうという意識を持つこと、意味を考えたり調べたりする癖(習慣)をつけることが大切です。
具体的な方法
- 分からない言葉が出てきたら、その場で意味を教える
- 子どもに辞書を引かせて自分で調べるよう促す
- テレビやYouTubeも「受け身ではなく、見る内容を意識する」ことで語彙力向上に活用
3. 音読の継続
読む力は教科書を大きな声で繰り返し音読することで養われます。読解問題に対応できるようになるためにも、国語の基本的な学習方法である音読を反復して取り組むのはおすすめです。
4. 文章構造の理解を深める
指示語と接続詞に注目 読解問題の得点力アップに一番効果があるのが、「指示語」と「接続詞」に注目して読むこと。なぜなら、「指示語」も「接続詞」も出題頻度が高く、コツを覚えてしまえばテストで得点アップが期待できるからです。
5. 体験と読書を結びつける
お子様が今読んでいる本を、学校に行っている間に読んで、どんな内容だったかを共有して語る機会を設けましょう。親御様と同じ本を読む経験は、お子様にとってはとても嬉しいものなので、楽しい時間になるはずです。
まとめ:読み聞かせの真の価値
読み聞かせは決して「意味がない」ものではありません。ただし、どのように行うかが重要なのです。
効果的な読み聞かせのポイント
- 一方的に読むのではなく、対話を大切にする
- 子どもの発言を促し、考えを深める質問をする
- 無理のない範囲で継続する
- 親子のコミュニケーションの時間として楽しむ
国語力向上の総合的なアプローチ
読み聞かせは国語力向上の「一つの手段」です。それと併せて:
- 日常会話の質を高める
- 語彙を増やす意識的な取り組み
- 音読の習慣化
- 文章構造への理解を深める
これらを総合的に行うことで、子どもの国語力は着実に向上していきます。
絵本の読み聞かせが、親子のリラックスタイムになることが何よりも大切です。
読み聞かせの時間を親子の貴重なコミュニケーションの機会として大切にしながら、子どもの成長を温かく見守っていきましょう。
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