小学3年生になると、周りで「中学受験」という言葉を耳にする機会が増えてきますよね。「みんなが塾に通い始めているけれど、うちはどうしよう…」と悩んでいる親御さんも多いのではないでしょうか。
実は、首都圏でも中学受験をする子どもは約5人に1人。つまり、80%の家庭は公立中学への進学を選択しています。
この記事では、実際に「中学受験をしない」という選択をした家庭の体験談と理由を詳しくご紹介します。中学受験に迷いや不安を感じている方の参考になれば幸いです。
中学受験をしない家庭が増えている背景
現在の中学受験事情
現在、一人っ子の割合は約2割(※2021年社会保障・人口問題基本調査より)となっていますが、中学受験についても地域により状況は大きく異なります。
全国的には中学受験は少数派
- 首都圏でも中学受験をする子どもは約20%
- 地方では更に少なく、ほとんどの子どもが公立中学へ進学
- 「中学受験をしない」のが一般的
中学受験をしない理由の多様化
近年、中学受験をしない家庭の理由も多様化しています:
- 経済的な理由
- 子どもの個性・適性を重視
- 多様な価値観に触れさせたい
- 高校受験で十分と判断
- 小学生らしい生活を送らせたい
先輩ママ・パパが語る「中学受験をしない」選択理由
【体験談1】教育系ライターママの場合
【佐倉さん夫妻が息子に中学受験をさせなかった5つの理由】 1 中学まではいろいろな家の子がいる環境で学んでほしかった 2 教育費のかけどころは大学以降だと考えていた 3 地元の公立中学が息子に合っていそうだった 4 息子にぜんそくがあり、中学受験の勉強は無理そうだった 5 息子の性格が中学受験に向いていなさそうだった
1. 多様な環境での成長を重視
「受験をして入った中学では、クラスメートが似た者同士で均質化してしまうから。公立中学には勉強が好きな子もそうでない子もいますし、家庭の事情もさまざまです。中学校までは、いろいろな家の子が集まる場所で学ぶ経験を持たせたいと考えていました。」
2. 教育費の配分を戦略的に考慮 大学進学時により多くの資金を確保するため、中学・高校は公立を選択。長期的な教育投資の観点から判断。
3. 子どもの体質と性格を考慮 持病がある子どもの体調面や、競争よりも自分のペースで学習したい性格を重視した選択。
結果 息子さんは公立中学校から上位の都立高校へ進学し、現在充実した学校生活を送っているそうです。
【体験談2】公立中学で多様性を学んだ経験者の声
「人生いろいろ、人間いろいろ」がよく分かるからです。その方が仕事も含め、長い目で見ると良いことがたくさんある
多様な環境がもたらすメリット
- 様々な価値観に触れる機会
- 社会の縮図を実体験として学べる
- 人間関係の構築力が向上
- 将来の仕事において多様な人々との協働が可能
【体験談3】経済的理由を重視した家庭
中学受験にかかる費用の現実 中学受験では塾の費用だけでなく受験料なども必要です。例として大手の集団塾である日能研に4年生から6年生まで通った場合の費用は3年間の合計で約238万円です
その他の費用
- 受験料:1校あたり2-3万円(複数校受験で10-15万円)
- 入学金:平均25万円(高い学校は50万円)
- 年間学費:平均97万円(初年度)
「我が家の年収では、塾代だけで年間100万円近くは現実的ではありませんでした。その分を大学費用に回し、高校受験で頑張る方針にしました。」
公立中学進学のメリット
1. 多様性に富んだ環境
公立は本人次第の世界になりますが、これは子どもの自主性や適応力を育てる絶好の機会でもあります。
具体的なメリット:
- 様々な家庭環境の子どもたちとの交流
- 多様な価値観・考え方に触れる機会
- 社会性やコミュニケーション能力の向上
- 現実社会への適応力の向上
2. 経済的負担の軽減
公立中学の費用メリット:
- 授業料無料(義務教育)
- 塾代を高校受験対策に集中可能
- 浮いた費用を大学進学資金に充当
- 習い事やその他の体験活動に投資可能
3. 子どもの主体性を育てる
高校受験では主体となるのはお子さん自身です。精神的・肉体的な発達と社会的な達成感の区切りとして高校受験は自然なタイミング
主体性が育つ理由:
- 中学生時期は自分の意見を持ち始める時期
- 高校選択を自分の意志で決められる
- 受験勉強も自主的に取り組む必要がある
- 将来への目標設定が現実的になる
4. 小学生らしい生活の継続
のびのびとした小学生活:
- 友達との遊び時間を確保
- 習い事やスポーツに集中可能
- 家族との時間を大切にできる
- ストレスの少ない生活
中学受験をしない選択のデメリットと対策
デメリット1:学習環境の不確実性
課題: 公立は先生が任期制で定期的に入れ替わるので、今学校の雰囲気はいいらしい、勉強熱心なんだって聞いていても、それをリードする先生が異動した瞬間に変わる
対策:
- 家庭での学習習慣の確立
- 塾や通信教育の活用
- 保護者の積極的な情報収集
- 学校との連携強化
デメリット2:進学実績の差
課題: 私立中学に比べて難関高校・大学への進学実績が限定的な場合がある
対策:
- 早期から高校受験を意識した学習
- 内申点対策の重視
- 定期テスト対策の徹底
- 進路情報の積極的収集
デメリット3:学習レベルの多様性
課題: いろんな生徒が集まるということは、多様的である一方「自分と合わない生徒」にも出会ってしまうことになります
対策:
- 子どもの人間関係構築サポート
- トラブル時の適切な対応
- 多様性を学びの機会として捉える
- 家庭でのメンタルサポート
中学受験をしない場合の学習戦略
小学生時代の学習ポイント
- 基礎学力の確実な定着
- 小学校の授業内容を完全理解
- 読書習慣の確立
- 計算力の強化
- 学習習慣の構築
- 毎日の宿題を確実に実行
- 家庭学習の時間を設定
- 自主的な学習姿勢の育成
- 多様な体験活動
- スポーツや音楽などの習い事
- 自然体験や社会見学
- 読書や芸術活動
中学校入学後の戦略
- 内申点対策
- 定期テストでの高得点維持
- 提出物の確実な提出
- 授業態度の改善
- 部活動や委員会活動への積極参加
- 高校受験準備
- 中学1年生からの計画的学習
- 苦手科目の早期発見と対策
- 志望高校の情報収集
- 受験勉強のスケジューリング
成功する「中学受験をしない」家庭の特徴
1. 明確な教育方針がある
成功家庭の特徴:
- 「なぜ公立中学を選ぶのか」の理由が明確
- 長期的な教育ビジョンを持っている
- 夫婦間で方針が一致している
2. 積極的な家庭学習サポート
具体的な取り組み:
- 定期的な学習進度チェック
- 子どもの興味・関心を伸ばす
- 質問や相談に真摯に対応
- 学習環境の整備
3. 学校との連携を重視
連携のポイント:
- 保護者会への積極参加
- 担任教師との定期的な面談
- 学校行事への協力
- PTA活動への参加
4. 将来を見据えた準備
長期的視点:
- 高校受験戦略の早期検討
- 大学進学資金の計画的貯蓄
- 子どもの適性・興味の見極め
- キャリア教育への関心
中学受験をしない選択で大切にしたいこと
1. 子どもの気持ちを最優先
重要なポイント:
- 子ども自身の意見を聞く
- 無理強いしない
- 選択の理由を子どもと共有
- 後悔のない決断をする
2. 周囲の意見に惑わされない
心構え:
- 「みんながしているから」ではなく自分軸で判断
- 家庭の価値観を大切にする
- 経済状況に見合った選択をする
- 他人と比較しない
3. 質の高い公立中学生活の実現
実現のために:
- 学校選択制がある地域では積極的に活用
- 部活動や委員会活動への参加奨励
- 地域活動への積極的参加
- 友人関係の構築サポート
よくある質問Q&A
Q: 公立中学だと勉強についていけなくなりませんか? A: 公立中学の授業は基礎から始まるため、小学校の内容がしっかり身についていれば問題ありません。むしろ、基礎を確実に定着させることが重要です。
Q: 高校受験で不利になりませんか? A: 中学受験の勉強をしなければ、その後、大学受験のときに必ず不利であるかというと、一概にそうともいえません。高校受験では内申点も重要な要素となり、努力次第で十分に挽回可能です。
Q: 友達関係で問題が起きませんか? A: 多様な環境だからこそ人間関係の学びが深くなります。問題が起きた時こそ、社会性を身につける絶好の機会として捉えることが大切です。
Q: 経済的理由で諦めるのは子どもに申し訳なくないですか? A: 教育費の配分は各家庭の判断です。中学受験をしない分、他の教育投資や将来の大学費用に充てることで、総合的によい教育環境を提供できます。
まとめ:中学受験をしない選択も立派な教育方針
中学受験をするかしないかは、正解のない選択です。大切なのは、家庭の価値観や子どもの個性、経済状況などを総合的に考慮して、後悔のない選択をすることです。
中学受験をしない選択のメリット
- 多様性に富んだ環境での成長
- 経済的負担の軽減
- 子どもの主体性の育成
- 小学生らしい生活の継続
成功のカギ
- 明確な教育方針の確立
- 継続的な学習サポート
- 学校との積極的な連携
- 長期的視点での準備
私は東京都下・立川市立の公立中学校に行って良かったとつくづく思っていますという体験談もあるように、公立中学での経験が将来の財産となることも多いのです。
中学受験をしない選択をした場合でも、家庭でのサポートと子ども自身の努力があれば、充実した中学生活と将来への道筋を築くことは十分に可能です。
何より大切なのは、選択した道を親子で前向きに歩んでいくこと。どちらの選択をしても、愛情を持って子どもをサポートしていけば、きっと素晴らしい未来が待っているはずです。
コメント