家計の固定費の中でも大きな割合を占める保険料。適切な見直しを行えば、年間5万円から10万円以上の節約も十分可能です。しかし「保険は複雑で分からない」「見直して保障が足りなくなったら不安」という理由で、多くの方が見直しを先延ばしにしています。
この記事では、保険のプロが実践している見直しのコツを分かりやすく解説し、あなたの家計を確実に改善する方法をお教えします。
なぜ保険の見直しが必要なのか
日本人の保険料負担の現実
日本人の年間保険料支出は平均で約40万円(世帯当たり)。これは家計支出の約10%に相当します。しかし、その多くが過剰な保障や不要な特約によるものです。
よくある過剰保障の例
- 死亡保障が年収の10倍以上
- 医療保険の入院日額が15,000円以上
- 複数の医療保険に重複加入
- 使わない特約に月数千円支払い
ライフステージの変化に対応していない保険
20代独身時代に加入した保険をそのまま継続していませんか?結婚、出産、住宅購入、子どもの独立など、人生の節目で必要な保障は大きく変わります。
保険見直しの3つの基本ステップ
ステップ1:現在の保険を全て洗い出す
整理すべき保険の種類
- 生命保険(死亡保険・終身保険・養老保険)
- 医療保険・がん保険
- 個人年金保険
- 自動車保険・火災保険
- 勤務先の団体保険
確認すべきポイント
- 保険料(月額・年額)
- 保障内容と保障額
- 特約の種類と保険料
- 契約年月日と満期
- 受取人の設定
ステップ2:必要な保障額を計算する
死亡保障の適正額計算法
必要保障額 = (遺族の生活費 × 必要年数)+ 一時的必要資金 - 公的保障 - 貯蓄
具体的な計算例
- 家族構成:夫婦+子ども2人
- 現在の生活費:月30万円
- 遺族の生活費:月20万円(現在の70%)
- 末子独立まで:15年
- 必要保障額:約2,500万円
ステップ3:現在の保険と必要保障を比較検討
ギャップを把握し、過不足を調整します。多くの場合、保障過多による保険料の無駄遣いが発見されます。
保険種類別の見直しポイント
生命保険(死亡保険)の見直し術
見直しの重要ポイント
収入保障保険への転換を検討 従来の定額保険から収入保障保険に変更することで、保険料を30〜50%削減できる場合があります。
定期保険の活用 高額な保障が必要な期間(子育て期間)のみ定期保険でカバーし、終身保険は最小限に。
団体保険の活用 勤務先の団体保険は一般的に保険料が安いため、まず団体保険の保障内容を確認しましょう。
医療保険の見直し術
入院日額の適正化 公的医療保険(高額療養費制度)を考慮すると、入院日額は5,000円程度で十分なケースが多いです。
不要な特約の整理
- 通院特約(使用頻度が低い)
- 女性疾病特約(一般の医療保険でカバー可能)
- 三大疾病特約(がん保険と重複する場合)
がん保険の重複チェック 医療保険とがん保険の保障内容が重複していないか確認。重複部分は解約を検討。
自動車保険の見直し術
年間保険料削減のポイント
車両保険の見直し
- 車の時価が低い場合は車両保険を外す
- エコノミー型車両保険への変更
- 免責金額の引き上げ
特約の見直し
- 弁護士費用特約(重複加入が多い)
- ロードサービス(JAFと重複する場合)
- レンタカー特約(使用頻度が低い場合)
ネット保険への乗り換え 代理店型からネット保険への乗り換えで、20〜30%の保険料削減が期待できます。
見直し時期とタイミング
最適な見直しタイミング
ライフイベント発生時
- 結婚・離婚
- 出産
- 住宅購入
- 転職・退職
- 子どもの独立
定期的な見直し
- 契約更新時期
- 年に1回の家計見直し時
- 保険料が上がったとき
契約変更時の注意点
解約タイミング 新しい保険の責任開始日を確認してから既存保険を解約。空白期間を作らないよう注意。
健康状態の確認 持病がある場合は、新規加入が困難な可能性があります。慎重な検討が必要です。
実際の節約事例
事例1:30代夫婦+子ども2人の場合
見直し前の保険料: 月額45,000円 見直し後の保険料: 月額28,000円 年間節約額: 204,000円
主な見直し内容
- 死亡保障を5,000万円→3,000万円に減額
- 医療保険の日額を10,000円→5,000円に変更
- 不要な特約を3つ解約
- 自動車保険をネット保険に変更
事例2:50代夫婦の場合
見直し前の保険料: 月額38,000円 見直し後の保険料: 月額25,000円 年間節約額: 156,000円
主な見直し内容
- 子どもの独立に伴い死亡保障を大幅減額
- 重複していたがん保険を1つに統合
- 医療保険の無駄な特約を整理
よくある見直し失敗パターンと対策
失敗パターン1:保障を削りすぎて不安になる
対策: 最低限必要な保障額を客観的に計算し、段階的に削減する
失敗パターン2:安さだけを重視して保障内容を軽視
対策: 保険料と保障内容のバランスを重視し、信頼できる保険会社を選ぶ
失敗パターン3:複数の保険を一度に変更して混乱
対策: 一つずつ順番に見直しを行い、変更内容を記録する
保険見直しを成功させる5つのコツ
1. 家計全体での保険料上限を決める
収入の5〜7%程度が適正な保険料の目安です。
2. ネット情報だけでなく専門家に相談
複雑な保険の見直しは、信頼できるFPや保険相談サービスを活用しましょう。
3. 見直し内容を家族で共有
保険は家族全体に関わるもの。見直し内容や変更理由を家族で共有することが大切です。
4. 定期的な見直しを習慣化
年に1回は保険内容を見直す習慣をつけましょう。
5. 節約効果を可視化する
見直しによる節約額を記録し、その資金を貯蓄や投資に回すことで、家計改善効果を実感できます。
まとめ:保険見直しで豊かな家計を実現しよう
保険の見直しは、一度の作業で長期間にわたって家計を改善できる非常に効果的な節約方法です。年間10万円の節約ができれば、10年で100万円の資金が生まれます。
今すぐできるアクション
- 現在加入中の保険を全てリストアップ
- 保険料の年額合計を計算
- 必要保障額の概算を行う
- 信頼できる相談先を探す
「保険は安心を買うもの」という考え方から「保険は必要最小限で効率的に」という考え方にシフトすることで、家計は大きく改善されます。
適切な保険見直しで浮いた保険料を貯蓄や投資に回し、より豊かで安心な将来を築いていきましょう。まずは現在の保険証券を手元に準備して、見直しの第一歩を踏み出してください。
コメント