小学生の「夢がない」は問題?「好き」から始める未来の見つけ方

進路

現代の小学生の夢事情

「将来の夢は何?」と聞かれて困ってしまう小学生が増えています。実際の調査データを見ると、小学生の57.3%が将来の夢を「持っている」と回答している一方で、約4割の子どもには明確な夢がないという現実があります。

特に注目すべきは、中学生になると「持っている」という回答が43.0%に減少し、中学生の5人に1人が将来に夢を持てていない状況にあることです。これは現代の子どもたちが抱える特別な課題を示しています。

「夢がない」のは本当に問題なの?

専門家の見解

教育専門家の多くは、「夢がない」こと自体は深刻な問題ではないと指摘しています。「夢がない」ということは、何も問題ありません。将来の夢が決まっていなくても、成長するにつれて興味がある職業は出てきます。

重要なのは、夢がないことを責めるのではなく、子どもの可能性を広げる環境を整えることです。

子どもの時間認識の特徴

過去、現在、未来という時間軸の中で、子どもが持っている時間は「現在」です。「未来」についてはほとんどと言っていいほど認識がありません。

これは発達上自然なことであり、大人の価値観で「夢を持て」と押し付けることは、かえって逆効果になる可能性があります。

「夢がない」原因を理解しよう

主な3つの原因

1. 過干渉・親の過度な管理 子どもからすると、やりたいことがあっても否定され、別のことをやらされます。「自分の人生はお父さんお母さんが決める」と思い、夢や希望がなくなってしまう

2. 経済的不安・将来への不安 現代は先行きが不透明で、失業や生活困窮の報道も多く、子どもたちも将来に不安を感じています。

3. 経験不足 子どもにとってそんなに夢中になれることがないとしたら、一度もやったことのない分野に対して心をオープンにし、積極的にトライしてみることが必要です。

「好き」から始める未来の見つけ方

1. 日常の「好き」を見える化する

日常の行動パターンを「見える化」するとよい。学校、習い事、遊び、食事など、ざっくりと書き出し、それぞれに対して、「好き」「嫌いではない」「嫌い」で色分けをします。

具体的な方法:

  • 1日の活動を時系列で書き出す
  • 各活動に対して感情を3段階で評価
  • 「好き」と評価した活動の共通点を探る
  • なぜ楽しいのか、どの部分に興味があるのかを掘り下げる

2. 子どもの集中・熱中する瞬間を観察

親として子供と関わっている時に見逃してはならない瞬間が集中・熱中している瞬間です。それがゲームであろうともブロックであろうとも友達と冗談を言いながら大笑いしている瞬間であろうとも、大人から見てくだらないと思うことでも、本当は、親は楽しそうにしている子供に幸せにしてもらっている時なのです。

観察のポイント:

  • 時間を忘れて取り組んでいることは何か
  • 自然と笑顔になる瞬間はいつか
  • 繰り返し挑戦したがることは何か
  • 他人に説明したがることは何か

3. 「調べたい」「作りたい」「試したい」を大切に

子どもの興味・関心は「調べたい」「作りたい」「試したい」の3つに集約される。子どもの疑問に合わせて、これらの3つのどれかをやってみるよう促してみてください。

実践例:

  • 「なぜ?」「どうして?」という質問に一緒に答えを探す
  • 興味を持ったものを実際に作ってみる
  • 新しいことにチャレンジする機会を提供する

4. 多様な体験の機会を提供

さまざまなことに興味を持つためには、実際に経験をするのが一番です。サッカー選手に憧れる子は、サッカーをやったことがあったり、生で試合を観戦したことがあったりするはずです。

体験の広げ方:

  • 職業体験イベントへの参加
  • 様々な習い事の体験レッスン
  • 図書館や博物館などの学習施設の活用
  • 地域のワークショップやイベントへの参加

親ができる5つのサポート

1. 否定せずに受け入れる

親がやりがちなのが、いざ夢を聞いたときに『無理じゃない?』などの、否定するような反応。これは絶対NGです。どんな仕事だって大変な部分はあるもの。あえて否定をするような言葉は言うべきではありません。

2. 一緒に探求する姿勢を示す

子どもが興味を示したことに対して、親も一緒に学ぶ姿勢を見せることで、学ぶことの楽しさを伝えることができます。

3. 親自身が夢を持つ

子どもに将来の夢を持ってほしいと願うなら、まずは親自身が夢を持つことです。子どもは思いのほか、親の背中を見ているものです。

4. 過程を大切にする

結果よりも、挑戦する過程や努力を認めて褒めることで、子どもの自己肯定感を育てます。

5. 適度な距離感を保つ

思春期の中学生は親の干渉を嫌います。見守りは大切ですが、口を出し過ぎないようにしましょう。

段階別アプローチ

小学生(低学年)

  • 遊びを通した学び
  • 様々な職業に触れる機会
  • 「なぜ?」「どうして?」を一緒に探求

小学生(高学年)

  • より具体的な体験活動
  • 自分の得意なこと・好きなことの整理
  • 将来への漠然とした憧れを大切に

中学生以降

  • 具体的な職業研究
  • インターンシップや職場体験
  • 進路選択との関連付け

現代特有の配慮事項

デジタル時代の職業への理解

YouTuberやゲーム制作者など、新しい職業に対しても理解を示し、その仕事の内容や必要なスキルについて一緒に調べてみることが大切です。

安定志向への対応

夢のある職業よりも安定した職に就くのが現実的だと考え、心の奥には夢を持ちながらも、とりあえず公務員を目指すという子どもも多い現状を理解し、安定と夢のバランスについて話し合いましょう。

まとめ:焦らず長期的な視点で

小学生の「夢がない」は、決して問題ではありません。大切なのは:

  1. 子どもの「今」を大切にする
  2. 様々な体験の機会を提供する
  3. 「好き」「楽しい」という感情を尊重する
  4. 親自身も学び続ける姿勢を示す
  5. 否定せず、一緒に探求する

夢は一度決めたら変えてはいけないものではありません。子どもの成長とともに変化していくものです。「好き」から始まった小さな興味が、やがて大きな夢につながっていくのです。

親として大切なのは、子どもの可能性を信じ、様々な選択肢を提示しながら、子ども自身が自分の道を見つけられるよう支援することです。焦らず、長期的な視点で子どもの成長を見守りましょう。

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