教育現場は今、大きな変革期を迎えています。AIの普及、デジタル化の加速、少子化などの社会情勢の変化により、これまでとは異なる新しい教育のあり方が求められています。そこで今回は、2025年の教育業界で知っておくべき重要キーワード20選をご紹介します。
- 1. 生成AI活用(教育現場のAI革命)
- 2. Next GIGA(GIGAスクール構想 第2期)
- 3. 個別最適な学び
- 4. 協働的な学び
- 5. デジタル教科書
- 6. CBT(Computer Based Testing)
- 7. MEXCBT(メクビット)
- 8. 部活動の地域移行
- 9. 保育の2025年問題
- 10. こども誰でも通園制度
- 11. 生成AIパイロット校
- 12. GIGAスクール運営支援センター
- 13. STEAM教育
- 14. プログラミング教育
- 15. 探究学習
- 16. アクティブラーニング
- 17. カリキュラム・マネジメント
- 18. 学習データの活用
- 19. インクルーシブ教育
- 20. Well-being(ウェルビーイング)
- まとめ:教育の未来に向けて
1. 生成AI活用(教育現場のAI革命)
教育現場での生成AI活用が急速に進んでいます。高知県の公立中学校23校で学校向け生成AIクラウド「スタディポケット」が導入され、文部科学省の生成AI利用ガイドラインに準拠した教育特化の生成AIサービスが提供されています。
教員向け活用例:
- 授業計画・指導案の作成支援
- 通知表の所見作成
- 学級通信の作成
- 校務文書の作成
生徒向け活用例:
- 個別の学習支援
- 探究学習のサポート
- レポート作成の助言
2. Next GIGA(GIGAスクール構想 第2期)
GIGAスクール構想で導入された学習用端末は5年程度でリプレースを実施する前提となっており、2024年度から置き換えが始まり、2025〜2026年度に置き換えがピークを迎えることになります。
Next GIGAの主要ポイント:
- 端末の計画的な更新(約950万台)
- ネットワーク環境の改善
- デジタル教科書の本格普及
- CBT(Computer Based Testing)の展開
3. 個別最適な学び
ICTを最大限活用し、これまで以上に「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげることが重要とされています。
2つの側面:
- 指導の個別化:一人ひとりの理解度に応じた指導
- 学習の個性化:児童生徒の興味・関心に基づく学習
4. 協働的な学び
「個別最適な学び」が「孤立した学び」に陥らないよう、子供同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら学ぶ「協働的な学び」の充実も重要です。
特徴:
- 多様な他者との協働
- リアルな体験を通じた学び
- 主体的・対話的で深い学びの実現
5. デジタル教科書
文部科学省は、紙の教科書の「代替教材」という現行の扱いを見直し、デジタル教科書を「正式な教科書」として検討する方針を盛り込み、新しいデジタル教科書は2030年度からの使用開始を想定しています。
導入状況:
- 小学校:40.1%
- 中学校:41.5%
- 高等学校:6.1%(2024年3月時点)
6. CBT(Computer Based Testing)
全国学力調査では2025年度から一部CBT化が予定されており、2025年の全国学力調査は、小学校の国語・算数・理科および中学校の国語・数学・理科が実施されますが、このうちCBTが実施される教科は中学校の理科のみです。
メリット:
- 試験の効率化
- 迅速な結果返却
- セキュリティレベルの向上
7. MEXCBT(メクビット)
文部科学省では、児童生徒が学校や家庭において、国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題を活用し、オンライン上で学習やアセスメントができる公的CBTプラットフォームである「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)」の開発・展開を進めています。
活用状況:
- 約2.8万校が登録
- 約890万アカウント(2024年11月現在)
8. 部活動の地域移行
現在は、休日の運動部活動から段階的に地域移行していくことで、2025年度末を目処に地域移行の実現を目指しています。
背景:
- 教員の働き方改革
- 地域スポーツ機会の確保
- 生徒の多様なニーズへの対応
9. 保育の2025年問題
少子化によって、保育所の数と子どもの数とのバランスが崩れ始め、保育所の維持が論点となっている問題です。2025年以降は、利用者が減少し、運営が厳しくなる保育所が増える恐れがあります。
現状:
- 2017年:待機児童26,081人
- 2023年:待機児童2,680人
10. こども誰でも通園制度
2025年4月から、生後6カ月から3歳までの子なら誰でも保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」が始まります。
制度の特徴:
- 利用時間:月10時間程度
- 利用料:1時間300円ほど
- 通園理由は不要
11. 生成AIパイロット校
パイロット的な取組として、教育活動や校務において生成AIの活用に取り組む生成AIパイロット校を指定し、効果的な教育実践の創出を行うことで、今後の更なる議論に資するよう、知見の蓄積をすすめることとしています。
12. GIGAスクール運営支援センター
学校のICT運用を広域的に支援する拠点であり、本事業ではその整備を支援するため、都道府県等が民間事業者へ業務委託するための費用の一部(補助割合3分の1)を国が補助する仕組みです。
13. STEAM教育
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)を統合した教育アプローチで、実社会の問題解決能力を育成します。
14. プログラミング教育
2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育は、論理的思考力(プログラミング的思考)の育成を目的としています。
15. 探究学習
生徒が自ら課題を設定し、解決に向けて情報を収集・整理・分析し、まとめ・表現する学習活動です。高等学校では「総合的な探究の時間」として実施されています。
16. アクティブラーニング
従来の受動的な学習スタイルを転換し、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称です。
17. カリキュラム・マネジメント
学校教育の改善・充実の好循環を生み出すため、教育課程の編成・実施・評価・改善を通して、教育活動の質を向上させる取り組みです。
18. 学習データの活用
児童生徒の学習履歴や学習状況をデータとして蓄積・分析し、個別最適な学びの実現に活用する取り組みが進んでいます。
19. インクルーシブ教育
障害の有無にかかわらず、すべての子どもが同じ場で共に学ぶことを目指す教育の考え方です。
20. Well-being(ウェルビーイング)
身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味し、これからの教育では学力向上とともに、児童生徒のウェルビーイングの向上が重要視されています。
まとめ:教育の未来に向けて
2025年の教育現場は、デジタル技術の活用が加速し、より個別化・多様化された学びが実現されつつあります。一方で、人間同士のリアルな関わりや協働的な学びの重要性も再認識されています。
これらのキーワードを理解することで、教育現場の最新動向を把握し、変化に対応していくことができるでしょう。教育関係者はもちろん、保護者や地域の方々も、これらの動向を理解して子どもたちの学びを支援していくことが大切です。
今後の教育で重要なのは:
- テクノロジーと人間性のバランス
- 個別最適化と協働性の両立
- 持続可能な教育システムの構築
- 多様性への対応
教育の変革期だからこそ、これらのキーワードを押さえて、子どもたちの豊かな学びと成長を支えていきましょう。
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