「お母さん、好きな子ができたの…」
突然子供からこんな相談をされたら、親としてどう対応すべきか迷ってしまいますよね。実際のアンケート調査では、恋愛系の話をしたことが「ある」と答えたのは48%、「ない」と答えたのは52%という結果が出ており、家庭での恋愛話には個人差があることが分かります。
しかし、思春期を迎える子供にとって恋愛感情は自然な成長過程の一部。親として適切に対応できれば、子供との信頼関係をより深めることができるのです。
本記事では、専門家の知見をもとに、子供の恋愛相談に対する正しい対応方法をご紹介します。
なぜ子供は恋愛相談をするのか?
成長の自然な過程
子どもが成長する過程で、恋愛に関心を持つのはごく自然なことです。同時に、「なんとなく家庭では話しにくい」という気持ちを抱くのもまた自然な感情でもあります。
親への信頼の証
子供が恋愛について相談してくるということは、親を信頼している証拠です。子供が自身の感情について話せる相手が親であることは、信頼の証なのです。
自分の感情を理解したい
親の役割は、決して解決策を提供することだけではなく、子供たちが自分自身の感情と向き合い、自ら考える力を育む手助けをすることです。
絶対に避けるべきNGな対応
1. 驚きや否定的な第一声
第一声として言ってはいけないのが「え?」「なんで?」「どうして?」といった言葉。親は驚いて発しただけでも、子どもは責められているように感じて、今後恋愛や性の話をしにくくなるかも
NGな反応例:
- 「えっ!まだ早いんじゃない?」
- 「なんでそんなこと考えるの?」
- 「勉強に集中しなさい!」
2. 根掘り葉掘り詮索する
根掘り葉掘り質問するのは避けるのがベターです。過度な詮索は子供を委縮させてしまいます。
避けるべき質問例:
- 「その子はどんな子?」
- 「どこで知り合ったの?」
- 「他にも好きな子はいるの?」
3. 親の価値観を押し付ける
親世代の価値観で「早く結婚して孫の顔を見せて」などと言うと、子どもを追い詰めてしまうかもしれないので注意
4. 過度な制限や干渉
手をつなぐ、キスをする、セックスをするなど、体にまつわることを決めるのは子ども本人。親が制限することではありません
5. 自分の恋愛経験を強要する
親が自身の恋愛経験を子供に強迫しないことは、非常に大切なポイントです。自分の経験をただ押し付けるのではなく、むしろ子供たちが自分自身で考え、学ぶ機会を与える姿勢が求められます
正しいOKな対応方法
1. まずは受け止める
まずは「そうなんだね」と受け止めてください。お子さまが自分の気持ちを教えてくれたことを歓迎しましょう
OKな第一反応:
- 「そうなんだね」
- 「話してくれてありがとう」
- 「そういう気持ちになったんだね」
2. 関心を持って耳を傾ける
子供が悩みや不安について話し始めたとき、親はただ耳を傾けるだけで十分です
効果的な対話のポイント:
- 保護者のかたはまず「そうなんだ!」と相づちを打って、お子さまの話を聞いてみてください
- 子供のペースに合わせて聞く
- 判断や評価をせずに話を聞く
3. 感情を否定しない
親は子供たちの感情や思考を否定することなく受け入れる姿勢を保つ必要があります
4. 適切な距離を保つ
子どもから話すまでは、詮索せずに見守ってることが大切です。
5. 経験を参考程度に伝える
「私も若い頃、こういうことがあったよ」といった形で、自分の経験を一例として語ることで、子供たちは親の視点を取り入れることができ、自分の考えを整理する手助けになります
年代別対応のポイント
小学生の場合
まずは「学校に行きたくない」と伝えてくれたお子さんに「悩んでいることを話してくれてありがとう」と伝えてあげてください。悩んでいることを親に話すのは、とても勇気がいること
中学生の場合
中学生の時期は、自分の気持ちを理解し、他者との関係を築く重要な時期です
親の役割は指導者ではなく、アドバイザーであることを意識しましょう。
高校生の場合
この年齢で母親に恋愛のアドバイスをもらいたがるものでしょうか。親としては変に隠さないでいてくれて安心ではありますが、相手とのやり取りのアドバイスまで介入していいものなのか判断に迷っています
高校生になると、より具体的な相談をしてくる場合もあります。適度な距離を保ちながら、人生の先輩として寄り添うことが大切です。
信頼関係を築く日常のコミュニケーション
1. 普段から話しやすい環境作り
真に重要なのは、あれこれと詮索して確かめることではなく、お子さまのほうから話してみたいと思った時に、気軽に話せる関係性を築けているか? ということです。
2. 自己開示をする
保護者のかたが、たとえば会社であった出来事や、その時に感じた気持ちをお子さまに話すのも、関係性を築くうえでは大切なこと
3. 生活習慣を整える
門限や就寝時間、そのほかにも最低限の決まりごとなど、特に思春期を迎える前は、子どもが健全に生活する習慣を保護者が構築することも重要な要素の一つ
気をつけるべき子供のサイン
注意すべき変化
今までいろいろと話をしてくれていたのに、突然その話題が途絶えた時や、ネガティブなことを言い出した時、また、生活リズムが崩れた時などは、注意して見守るとよい
自己否定的な発言への対応
もしお子さまがネガティブになっていたり、「私なんて……」と自己否定するような発言をしたりした時は、今お子さまが何を考え、感じているのかを聞いてみてはいかがでしょうか
意見が合わない時の対処法
1. 率直な意見を伝える
ざっくばらんに会話ができる関係性を築けているなら、まずは一度、ご自身の率直な意見を伝えてみてはいかがでしょうか
2. 心配の理由を具体的に説明
お子さまの意見に対してなぜ自分が心配を抱いているのか、その点はできるだけ具体的に伝えましょう
3. 最終的には子供を尊重
最後は「あなたがいいのなら、応援はするよ」というスタンスを示すことが大切です。最終的にどう判断するかは、やはりお子さま次第
専門家が教える準備のコツ
メンタルリハーサルの重要性
心に余裕を持って向き合うためには、ご自身の《メンタルリハーサル》をしておくとよいかもしれません。「もしこんな相談をされたら?」「こんな子が好きって言われたらどう答えよう?」というふうに想像をして、回答を考えながら、笑顔で受け止めるためのイメージを付けておくとよいでしょう
親が心に留めておくべきこと
恋愛だけが人生ではない
親が心配に思うのは、恋愛して結婚することこそ幸福だと思っていて、そういう人生を子どもに望んでいるから。子どもの幸せを軸に考えたら、推しひとすじでも問題なし。恋愛や結婚だけが人生ではありません
個人差を認める
同じ環境で育った兄弟、姉妹でも恋愛への考え方や興味の度合いは人それぞれ。個人の考え方に合わせて無理強いはしないように
異性愛者と決めつけない
大前提としてわが子が異性愛者だと思い込まないことも大切な視点です。
まとめ:子供の恋愛相談への正しい向き合い方
子供の恋愛相談に対する親の対応は、その後の親子関係に大きな影響を与えます。重要なのは以下の点です:
- まず受け止める – 驚きや否定的な反応は避ける
- 話を聞く – 詮索せず、子供のペースに合わせる
- 感情を尊重する – 子供の気持ちを否定しない
- 適度な距離を保つ – アドバイザーとしての立場を意識
- 信頼関係を築く – 日常から話しやすい環境を作る
大切なのは、いつでも話せる関係性を築くこと。そしてもし相談された時は、お子さまの気持ちを笑顔で受け止めましょう。それが、お子さまとのよりよい信頼関係を築く礎(いしずえ)の一つとなるはずです。
子供の成長を温かく見守りながら、必要な時にはしっかりとサポートできる親でありたいものですね。
コメント