はじめに
「この大学は偏差値が高いから」「有名だから安心」――そんな理由だけで志望校を選んでいませんか?
志望校を選ぶ際の項目として学校の偏差値はありますが、偏差値だけで選ぶのは止めましょう。どれだけ偏差値の高い学校に入学できる実力があったとしても、校風をはじめとする他の項目が子供に合っていないのは問題です。入学しても学校生活に馴染めず、成績アップどころか途中で転校や退学することにもなりかねません。
実際に、偏差値や知名度だけを重視した志望校選びで失敗するケースが増えています。本記事では、現代の親子が納得できる「志望校選び」の新しい基準を3つご紹介します。
なぜ偏差値だけでは不十分なのか?
偏差値信仰の落とし穴
従来の志望校選びは、偏差値ランキングを見て「より高い数値の大学=良い大学」という単純な図式で行われがちでした。しかし、志望校を選ぶ際にはどうしても難易度を気にしがちですが、大切なのは大学の偏差値や知名度ではなく、自分の将来にプラスになる大学・学部・学科を選ぶことです。
実際の失敗事例
周りにすすめられるまま、合格確保校としてある大学の国際系学部「国際文化領域」を受験したBさん。結果的に、その大学に通うことになりました。欧米の比較文化に関心が高かったBさんですが、大学が独自プログラムとして力を入れていたのは、アラブ・イスラム文化や中国・韓国文化でした。教員の専門性までしっかり調べていれば、ミスマッチは防げていたでしょう。
このような失敗を避けるために、以下の3つの新基準を提案します。
【新基準1】将来のキャリアからの逆算思考
キャリア支援の充実度を重視する
現代の志望校選びでは、「入学後にどんなキャリア支援が受けられるか」が重要な判断基準となっています。
チェックポイント:
- キャリアセンターの支援体制
- インターンシップの提供状況
- 就職実績と就職先の質
- OB・OGネットワークの充実度
- 低学年からのキャリア教育プログラム
近年、学生のキャリアプランニングを後押しする活動に力を入れる大学が増えています。キャリア教育に関する授業を必修とし、特定の資格取得のための特別講座を開講する大学も珍しくありません。キャリア支援も判断材料のひとつに加えてみましょう。
就職実績の見方を変える
日経HRと日本経済新聞社は毎年、「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」の結果を発表しています。単純な就職率だけでなく、企業からの評価や卒業生の活躍状況も重要な指標です。
【新基準2】学びの内容と教育環境の徹底調査
カリキュラムの深堀り調査
注目してほしいのが、「学ぶ内容」と「学び方」です。上記のチェックポイントを参考にカリキュラムやシラバスを確認し、4年間の学びを具体的にイメージしましょう。教員の専門によってウエイトを置く分野が異なるため、何を研究している先生がどのくらいいるかは、特に重要です。
重要な調査項目:
- 教員の専門性と研究実績
- 履修可能な科目の幅と深さ
- 実習・演習の充実度
- 海外留学プログラムの有無
- 最新設備・施設の充実度
複数校の比較検討が必須
大学のホームページやパンフレットは隅々まで目を通すことが大事ですが、1校だけを読み込むのではなく、複数校を比較してみましょう。志望校選びは、買い物と同じです。
一つの大学だけを見て決めるのではなく、最低でも3〜4校を詳細に比較検討することが重要です。
【新基準3】子どもの適性と校風のマッチング
本人の気持ちを最優先に
志望校選びで学力は重要な指標ですが、受験までに時間があるのであれば、子どもの行きたい気持ちを優先するようにしましょう。子どもの学力は努力次第で、受験直前まで伸びる可能性があります。そのため、早い段階から学力だけを理由に志望校を選ぶ必要はありません。
校風との相性を見極める
確認すべき要素:
- 学校の教育理念・校風
- 学生の雰囲気と価値観
- 部活動・サークル活動の活発さ
- 学習環境と学生生活のバランス
- 通学環境と立地条件
高校の雰囲気を知るには、先輩からの話やオープンスクールでの見学などを通じて知ることができます。また、ホームページや高校に関する資料に掲げられている校訓や教育方針でも、雰囲気の一部を知ることができるでしょう。
実際の情報収集方法
- オープンキャンパス・学校見学
- 在校生との直接対話
- 実際の授業見学
- キャンパスの雰囲気体感
- OB・OG訪問
- リアルな学生生活の話
- 就職活動の実体験
- 大学の良い点・改善点
- 客観的データの収集 市販の大学データ本には、大学のホームページやパンフレットには載っていない情報も掲載されています。そうした書籍を手に取り、定員充足率、留年者数、退学者数など、大学が積極的には公表したくない数字にも目を向けてみましょう。
やってはいけない志望校選び
避けるべき選択基準
- 友人と同じという理由 仲の良い子と離れたくないからと、友だちと同じところを受験したいと思う方はいますが、これは、志望校選びに失敗しやすいパターンの一つでしょう。友だちが行きたい学校=自分の行きたい学校であるとは限らないからです。
- 知名度や親の希望だけ 志望校は、教師に勧められたから、知名度が高いからと安易に選んでしまうと、将来にマイナスな影響が出ることも考えられます。
- 偏差値のみでの判断
志望校選びの適切なタイミング
志望校選びは早ければ早いに越したことはありません。志望校が明確になることで目標が定まり、目標達成に向けた具体的な学習計画を立てられるようになるためです。
推奨スケジュール:
- 高校1年生: 大学・学部の大まかなリサーチ開始
- 高校2年生: 志望校候補を3〜5校に絞り込み
- 高校3年生春: 最終的な志望校決定
まとめ
志望校選びは、お子さんの人生を大きく左右する重要な決断です。偏差値だけでなく、以下の3つの新基準を総合的に検討することが大切です:
- 将来のキャリアからの逆算思考 – キャリア支援と就職実績の重視
- 学びの内容と教育環境の徹底調査 – カリキュラムと教員の専門性
- 子どもの適性と校風のマッチング – 本人の意思と環境の相性
志望校選びは、将来を左右する決定にもなりかねないため、慎重に志望校を決めることが大切です。
最終的には、数値だけでは測れない「この大学で学びたい!」という強い気持ちが、お子さんの成長と成功につながります。親子でしっかりと話し合い、納得のいく志望校選びを進めてください。
本記事は2025年8月時点の情報に基づいて作成されています。志望校選びの際は、最新の情報も併せてご確認ください。
コメント