「うちの子、算数が苦手で…」そんな悩みを抱える保護者の方は多いのではないでしょうか。算数は積み上げ式の教科のため、一度つまずくとその後の学習に大きく影響してしまいます。しかし、適切なドリル選びと学習方法で、必ず算数嫌いは克服できます。
この記事では、小学生の算数でつまずきやすいポイントを学年別に分析し、効果的なドリルと学習方法をご紹介します。現役プロ塾講師や教育専門家の知見を交えながら、お子さんに最適な「お助けドリル」を見つけていきましょう。
なぜ小学生は算数でつまずくのか?
算数は「積み上げ式」の教科
算数は、これまでの学習内容がわかっている前提で次の学習が始まる「積み上がり型」の教科です。そのため、つまずきはすぐ解決しておかないと、単元が進むにつれてどんどん理解が追いつかなくなってしまいます。
算数嫌いになる3つの主な原因
- 思考力の未発達 小学生の抽象的な思考能力は、まだまだ発達途中です。思考能力には個人差があり、その力が十分に育っていないと算数を理解するのが難しくなってしまいます。
- 基礎知識の不足 算数は、土台となる知識を理解したうえで次の知識を積みあげていく教科です。土台の知識があやふやなまま進んでしまうと、次に進んだときに理解するのが難しくなってしまいます。
- 反復練習の不足 一度説明を聞いて理解したつもりになっていても、実際に問題を解こうとするとできないということもよくあります。算数の知識を定着させるには、ある程度くり返し練習する必要があります。
学年別つまずきポイント完全解説
1年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- 数の概念(順序数・集合数・数の保存性)
- 繰り上がり・繰り下がりの計算
具体的な困りごと:
- 「7と8はどちらが大きい数か」という問いに答えられない
- 「りんごは3個ある」の3と「左から3番目」の3の違いが理解できない
- 1年生の時点では一桁の計算にすぎませんが、確実に理解しておかないと2年生で習う二桁の計算でついていけなくなってしまいます
2年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- かけ算(九九)
- 長さ・かさの単位
対策のポイント: 小学校2年生で習う九九でつまずくと、3年生以降の計算に支障が出てくるので、徹底的にマスターしたいところですね。お風呂などに九九表を張って、遊びながら慣らしていくと良いでしょう。
3年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- わり算
- 小数・分数の基礎
- 筆算(3桁、4桁)
特徴: 小学生の計算ミスが目立ち始める時期は、小学3年生から4年生あたりといわれています。3年生では「わり算」が新しい計算方法に加わり、計算の数字の桁数も増えます。
4年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- 四則計算の順序
- 文章問題
- 分数・小数の四則演算
「小4の壁」と呼ばれる理由: 具体的には、割り算の筆算や分数、小数の四則演算、割合や比、早さの概念などです。小学生低学年で習った算数の基礎を元にした複雑な計算式が次々に登場します。わからないところが増えてくる時期でもあり、わからないままにしておくと、本格的に算数が苦手となってしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。
5年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- 割合
- 平均・百分率
- 様々な図形の面積・体積
特に注意すべき点: 5年生で学ぶ割合は、多くの子どもがつまずく単元の一つです。「全体と部分の関係」を理解することが重要です。
6年生のつまずきポイント
主なつまずき分野:
- 比例・反比例
- 速さ・距離・時間の関係
- 分数の掛け算・割り算
中学数学への橋渡し: 6年生で学ぶ速さの単元では、距離、時間、速さの関係を正確に捉えることが難しいため、つまずきやすくなります。また、比例・反比例は中学校での学習の土台になるので、確実に理解しておくことが必要です。
つまずきタイプ別おすすめドリル
タイプ1:計算力強化型ドリル
こんな子におすすめ:
- 計算ミスが多い
- 計算に時間がかかる
- 基礎的な計算力を身につけたい
おすすめドリル:
- 陰山メソッド徹底反復「百ます計算」
- 根強い人気を誇る計算力強化の定番
- ひたすら計算スピードをアップ
- 毎日の短時間学習に最適
- くもんの小学ドリル
- とにかく算数の基礎を復習したい場合に最適
- 学年別・単元別に細かく分かれている
- 反復練習で確実に基礎を身につけられる
- トコトン算数計算ドリル
- 苦手をつくらないことを目的としたドリル
- 単元ごとに計算のしくみを「理解するページ」とくりかえし「練習するページ」を設けて、段階的に計算のしかたを学べる
タイプ2:文章題克服型ドリル
こんな子におすすめ:
- 文章問題を見ただけで拒否反応を起こす
- 問題文から式を立てることができない
- 読解力が不足している
おすすめドリル:
- つまずきをなくす 算数文章題シリーズ
- 苦手な文章問題を克服したい人におすすめ
- 2020年度の新学習指導要領に対応
- 小学1年生~6年生と、6段階のレベルに分かれている
- 問題を解くまでの手順・フローが穴埋めになっていて、子供が自分で理解しやすい
- どっかい算(天才ドリルシリーズ)
- 集中力アップ!長い文章題を読むトレーニングになる
- 文章を読む力と論理的思考力を同時に鍛えられる
- 5分間復習プリント 文章題
- 基本的な問題を掲載しているので、算数が苦手な子どもにもおすすめ
- 読解力も身にけられるのが特徴的
- 毎日の5分の習慣で楽しく苦手を退治
タイプ3:図形理解強化型ドリル
こんな子におすすめ:
- 図形問題が苦手
- 展開図がイメージできない
- 空間認識力を向上させたい
おすすめドリル:
- 立体図形が得意になる点描写(天才ドリルシリーズ)
- 図形を書き写すだけなのに効果がすごい
- 空間認識力を養うのに最適
- 平面から立体をイメージする力が身につく
- すみっコぐらし学習ドリル 算数 図形・単位・文章題
- かわいいすみっコぐらしが図形や単位を教えてくれる
- 2年生から学びはじめる長さやかさなど、算数の苦手意識が高まりやすい単元をカバー
- シール付きで達成感を味わえる
タイプ4:思考力育成型ドリル
こんな子におすすめ:
- 難しい問題にすぐ諦めてしまう
- 考える力を伸ばしたい
- 中学受験を視野に入れている
おすすめドリル:
- 宮本算数教室の算数脳パズル
- 粘り強く考える力や計算を見直す力が自然に身につく
- 四則計算の各レベル(初級・中級・上級)に対応
- 思考力を飛躍的に高める
- Z会 小学生のための思考力ひろがるワーク
- 楽しみながら思考力を育成
- 教科書とは一味違う思考力問題
- リーダードリル 図形と文章題
- 「一歩先を行く」ためのドリル
- 4年生での内容だけでなく、5年生の内容や中学入試の問題を無理なく学習
タイプ5:楽しく学習型ドリル
こんな子におすすめ:
- 算数に苦手意識がある
- 勉強への取り組みが消極的
- 楽しみながら学習したい
おすすめドリル:
- うんこドリル たしざん・ひきざん・かけざん
- 社会現象になったうんこドリルシリーズ
- 意欲的に取り組めるうんこ問題で、随所にうんこが散りばめられており飽きずに意欲的に取り組める
- 算数の数・単位・図形を扱う内容
- ドリルの王様
- かわいらしいキャラクターが描かれていて、説明もわかりやすく小学校低学年にもスムーズに理解できる
- シールもついていて剥がすとシールの裏に占いが書いてある
- 勉強しているという堅苦しさはなく、がんばり表にシールを貼る楽しさ
- ポケモン学習ドリル
- 1年生だから、絵本感覚で勉強できる
- 算数は特に躓きやすいので、好きなキャラクターと一緒に学習
効果的なドリル活用法
1. レベルに合ったドリルを選ぶ
選び方のポイント:
- 学力と使用目的を把握
- お子さんの現在の理解度を正確に把握する
- 目標を明確にする(基礎固め、応用力向上、受験対策など)
2. 継続できる分量を設定
具体的な目安:
- 1年生:1日10分程度
- 2-3年生:1日15分程度
- 4-6年生:1日20-30分程度
3. 褒めて伸ばす環境作り
親のサポートのコツ:
- 「この前やったのにまたできないの?」「〇〇君は算数が苦手だよね」などと、大人が子供に対してプレッシャーを感じさせる言葉をかけてしまうと、子供は「自分は算数が苦手なんだ…」という意識が芽生えやすくなります
- できたところは褒め、間違えたところを「こうするんだったよね」と優しく伝える
- 結果だけでなく、取り組む姿勢も認める
4. つまずきの早期発見・早期対処
チェックポイント:
- 計算ミスが増えていないか
- 問題を解くのに時間がかかりすぎていないか
- 特定の単元で極端に正答率が下がっていないか
家庭でできる算数サポート法
実物を使った学習
効果的な方法:
- 分数の学習では、ケーキやピザをカットしたり
- 単位の学習では、ペットボトルで500mLと1Lを比べてみたり
- 目盛りの学習では、計量カップや計量スプーンなどを実際に使ってみる
日常生活での算数クイズ
具体例:
- 「どっちが何個多い?」
- 「お釣りはいくらになる?」
- 「今何時?あと何分で出発?」
これらの問いかけで数学的思考力を高められます。
遊びを通じた学習
おすすめの遊び:
- パズルやブロック
- ナンバープレート・ボードゲーム・カードゲーム
- 囲碁や将棋
- レゴブロックを使った図形イメージ作り
これらの頭を使う遊びは思考力の育成に効果的です。「考えて答えを出せると気持ちいい」という経験を積むことができます。
デジタル教材という選択肢
タブレット学習のメリット
最近は「スマイルゼミ」や「RISU算数」「チャレンジタッチ」など通信教育のタブレット学習もおすすめです。
メリット:
- 毎月算数の問題を送ってくれるので、ドリルを選ぶ手間が省ける
- 優秀な動画解説やアニメーション解説があるので、分かりやすい
- 個人の理解度に合わせた問題が出題される
デメリット:
- 算数ドリルよりは料金がかかる
算数アプリの活用
小学生の算数の勉強に使える「算数アプリ」も選択肢の一つです。ゲーム感覚で学習できるため、算数に苦手意識がある子にも取り組みやすいのが特徴です。
つまずいてしまった時の対処法
1. つまずきポイントの特定
確認すべき内容:
- お子さんがつまずいている単元のノートやプリント、テストを確認
- どの部分で理解が止まっているかを具体的に把握
- 複数のつまずきがある場合は、前のページに載っている学習内容から順番に復習
2. 基本に戻る
復習の手順:
- まずは教科書に戻って、一緒に教科書を見ながら優しく説明
- 一緒に問題を解きながら、正しい計算方法を教える
- ある程度問題が解けるようになったら、数日おいて、もう一度問題をやらせてみる
3. 専門家のサポートを検討
塾の活用: たくさんのお子さんを見ているからこそ、単元ごとにつまずきやすいポイントもよく把握しています。もちろん、講習代はかかりますが、それでお子さんの苦手が克服されると考えれば、高くはない買い物だと思います。
算数を得意科目にするために
成功する子の特徴
算数が得意な子は、問題を解きながら大体の解き方や答えのイメージができています。例えば小学1年の場合、数の概念についての問題で、「4と6はどちらが大きい数?」と聞いた時に、りんごが4個・6個と、それぞれのお皿にりんごが置かれているイメージができ、「6が大きい」と瞬時に答えられます。
長期的な視点
算数が得意になるかどうかを分けるポイントは、頭の中で問題を解く回路ができているかどうかです。算数はいくつもの問題を解き「できた!」「わかった!」という経験を積むことで、考える力が強くなり、自信になり「算数が得意な子」になります。
まとめ:算数嫌いは必ず克服できる
算数のつまずきは、適切な対処法とドリル選びで必ず克服できます。大切なのは以下の点です:
- 早期発見・早期対処:つまずきを放置せず、すぐに対策を講じる
- お子さんのレベルに合ったドリル選び:背伸びしすぎず、着実にステップアップ
- 継続可能な学習習慣:短時間でも毎日続けることが重要
- 褒めて伸ばす環境作り:できたことを認め、自信を育てる
- 実体験と結びつけた学習:日常生活の中で算数を意識する
算数は積み上げの教科だからこそ、一度つまずきを解消すれば、その後の学習がスムーズに進みます。お子さんの「わかった!」「できた!」という笑顔のために、今回ご紹介したドリルと学習方法をぜひ試してみてください。
算数が得意になれば、お子さんの自信にもつながり、他の教科への学習意欲も向上するはずです。焦らず、お子さんのペースに合わせて、楽しく算数学習を進めていきましょう。
この記事は現役プロ塾講師や教育専門家の知見、最新の学習指導要領に基づいて作成されています。お子さんの状況によって最適な学習方法は異なりますので、必要に応じて専門家にご相談ください。
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